三題噺つくりました。

ごぶさたしております。みよしです。


この度はブログでの発表を前提とした創作をしてみよう、ということで三題噺をつくりました。
出題された三つのキーワードを織り込んだ掌篇を書いてみようという企画です。


今回のお題は「メガネ」「飛行機」「放火」(なんか偏ってるな……)


多くの部員が思い思いの作品を書いてきてくれたのですが、その中から部員による人気投票で選ばれた一篇を発表することにします。
ではでは。                



お題:メガネ・飛行機・放火

作者:亀(工学部2年)


タイトル:冷蔵庫の中はすんごく寒い


「太郎君見て見て! すごくない?」
「すごいね」
「ねえ、ちゃんと見てるの?」
「見てるよ」
 オンラインショップで見つけちゃった。銀色のメタルフレームボーイング社製の眼鏡。なんかすごくすごかったから思わず購入して太郎君に見せてみたのに太郎くんはパソコンを見ている。何それ、この眼鏡の素晴らしさについて語ってるのに眼鏡見てないじゃん。お前は眼球3つ以上あるのかってーの。太郎君はさっきからずっとパソコン見ながら何いじってんのよ、そんなんだったら、どうしようかなー、でもどうにかしてやりたい。
「火炎放射機ついてるんだよ」
「別に使わないでしょ」
「使うもーん」
「放火でもするの」
「放火なんかよりも花火の方が楽しいよ」
「ライターじゃだめなの」
 太郎君はこのすごさをわかってくれないみたい。
「さっきから何見てるの?」
ちょっとね、だって。
さっきからパソコンで何を見てるんだよー。この間録画した映画かな、美人さんからのメールかな、あたしじゃない人からのメールなんだろうな。 あたしの中でパソコンはぶくぶく太っていく。名前を呼ぶ、返事が無い、お前は屍か。何をしても、あたしが冷蔵庫の中からいないないばあして見せてもまだパソコンを見ている。もう、あの眼鏡をかけて冷蔵庫の中に私は引きこもってみた。寒いな、おい。
あのパソコンは太郎君の大事なものだからしないけど今すぐ叩き割りたい。そしたらでも太郎君は悲しんだ挙句あたしのこと嫌いになるんだろうな、自分のやりたいようにやったら誰も幸せにならないんだよね、それは知ってるんだけどさ。
ああもうなんかこういうさ、あたしの好きだぜビビビって気持ちから派生するエゴイズムってどこまで許されるんだよ。なんかもう、恋したらダンスするんだよ、踊れよバカ! 踊るからバカ! 超不条理。泣けてくるわばーか、と思ったら、太郎君はやっとこっちをむいて、「風邪ひくよ」って笑った。