幻想研の100冊以降<第14回〜まんが〜>

1ヶ月間続けてきたこの「幻想研の100冊以降」も残すところあと2回になりました。最後の特集テーマは「まんが」です。(みよしくにこ)

№125
諸葛孔明 時の地平線』
諏訪緑 小学館
言わずと知れた三国志諸葛亮孔明といえば日本でも人気のあるキャラクターで、主である劉備の情の厚さと対照して冷徹な軍師として描かれることが多い。しかしこの作品の主人公たる孔明先生、とにかく、とにかく優しいのである。人が死ぬのが嫌で堪らず、戦場跡を見て吐く。この人大丈夫か、この戦の世にあろうことか中枢に入れられて生きていけるのか。もう見ていてはらはらする。それでも彼は巻を追う毎に成長し、信念を持って扇を振るう。孔明先生成長記。色々とイメージを崩される、その他登場人物も魅力的。劉備とかおっさんだし。(御茶杉)

諸葛孔明 時の地平線 1〔文庫〕 (小学館文庫 すA 6)

諸葛孔明 時の地平線 1〔文庫〕 (小学館文庫 すA 6)


№126
日出処の天子
山岸涼子 白泉社
アラベスクなどで知られるエグいことで定評のある山岸涼子が描く漫画であるからして、ただの少女漫画・歴史漫画だとか思ったら大間違いである。(事実山岸は法隆寺出入り禁止となっているという噂がある)ここまで聖徳太子を好き放題描いた漫画はないだろう。歴史の教科書に書いてあるのとは全く逆の、性格がねじまがり超能力から同性愛まで何でもありの聖徳太子像はあらゆるところから反響を呼んだ。外部からの圧力が加わって連載が中止になってしまったことが本当に悔やまれる。併せて梅原猛の「隠された十字架」も読むことを推奨する。(亀)

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)