幻想研の100冊以降<第13回〜表紙の青い本〜>

今日の仙台市内はひどい雨でしたが、今は一段落したみたい。
このレビュー企画もじつは今週いっぱいで終わりだったりします。
しんみり……。


さあ、「表紙の青い本」第3弾。(みよしくにこ)


№124
『どろぼうの神さま』
コルネーリア・フンケ WAVE出版
 鮮やかな空色、欧州風の街並み、あたりを窺う仮面の男。表紙買いしました。①「どろぼう」が大好き(ねずみから紳士まで)②仮面に胸キュン(オペラ座の怪人的な方向で)③欧州っていいよね(単なる西洋かぶれ)④空色が美しすぎる(永久保存版)というわけで。少年少女窃盗団とおじさん探偵の攻防戦とか、謎の伯爵からの依頼とか、窃盗の計画と偵察とか、すごく雰囲気が良くて、わくわく出来ます。途中までは。まとめの方向性がいまいちすっきりしないんですよね。冒険譚的な面白さがメッセージの強烈さに食われてしまって。別に無理してファンタジー要素ねじ込まなくても…ねえ。(栗原)

どろぼうの神さま

どろぼうの神さま


№125
『インストール』
綿矢りさ 河出書房
 史上最年少の17歳で第38回文藝賞を受賞したデビュー作。学校生活からドロップアウトすることを決めた高校生の朝子は、マンションのゴミ捨て場で出会ったませた小学生・かずよしと共にパソコンのチャット風俗をして一儲けすることになる。
 日常に退屈する、ということはよくあると思う。その退屈さに耐えられなくなった朝子はチャット風俗という非日常に身を置く。しかしそれで何かが大きく変わったというわけではない。ほんの少しだが、朝子は変わり、成長した。でもそれでいいのだ。
 高校生とは思えない、最後まで一気に読ませる文章力は羨ましい限りである。(マリス)

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