[レビュー]文体練習

無駄口のあとにレビューを。

文体練習

文体練習

世界的に有名な本、レーモン・クノーの文体練習、です。
長いこと読みたかったですが読めてなかった一冊。

日常の何気ないヒトコマを実に99通りの文体で書き表した、まさに「文体」の「練習」作品。
「バスの中での些細な喧嘩、そのあとにその喧嘩をしていた人をもう一度見かけた」というだけの要素でです。

メモ、複式記述、主観的に、といったやや普通の文体から、罵倒体、俗悪体、哲学的、というようなあまり聞かない(読まない)もの、更には「ばびぶべぼ」、「らぞなぞね」、「漸増方式による文字の置き換え」などという意味のわからないものまで、数多くあります。

我らがサークルには書き手志望の諸君も多くいらっしゃるので、ぜひ読んで頂きたい。読んでるうちに「あ、俺ってこの文体に似てるなあ」とか「こういう文体でかいてみようかな」とか発見が多いと思いますよ。

また、作者のクノーはフランスのお方、よってこの本は翻訳です。ということはすなわち訳者が頑張ってフランス語を日本語に変換しているわけです。その努力に拍手。洒落たレイアウトとあいまって、非常に素晴らしい書物となっております。
フランス語が出来る方は原書と読み比べるのも一興かと思いますよ。

百聞は一読に如かず。是非手にとって頂きたい。
高尚な本のレビューはできないと知った84