『やまなし』

 どうもこんにちは。
 このブログではお初にお目にかかります、文学部2年の水無月朔と申します。
 
 去る4月23日に宮沢賢治の童話『やまなし』の読書会を行いました。
 実を申しますと、私は今まで読書会を主催したことがありませんでしたので、今回が初めて自分が主催する読書会であり、若干の緊張を覚えつつの進行でありました。
 当日は多くの新入生にも参加していただき、約1時間半、『やまなし』や賢治について語り合いました。
 
 今回の読書会で扱った『やまなし』ですが、小学生のころに教科書に載っていて覚えているという人も多いのではないでしょうか。(実際私もそうですし、今回の参加者の方の中にもそういう方がたくさんいました)
 『やまなし』というタイトルだけではピンとこなくとも、「クラムボンがかぷかぷ笑う話だよ」と言えば思い出す方も多いでしょう。
 小学生のころの私は、「クラムボンは泡だ!」と断言していたように記憶しております。(まったく幼いころの根拠のない自信というのはいったいどこからやってくるのでしょうね?)

 さて今回の読書会では、「クラムボンはキリストだ」という想像力豊かといいますか、突拍子もないといいますか、とても面白い意見も出ました。
 また、作品全体に死の香りがするという意見や、むしろ生と死の対比が描かれているという意見、童話なのに教訓めいたことがないという指摘、幻燈を見ているという体裁なのだから教訓めいたことがたとえあったとしてもそれは教訓として機能しないという意見など実に様々な意見が出ました。
 結局のところ、クラムボンはなんなのかは謎のままですし(むしろわかる方がちょっとおかしい?)、賢治が何を描きたかったのかという答えも出ませんが、これだけの短い話が読者に強烈な印象を残しているというだけでも素晴らしい作品なのではというところに落ち着きました。(読書会っていつもこんな感じか?)

 今回の読書会は新学期が始まってから2回目の読書会だったわけですが、現在告知されている読書会はまだあります。
 カフカの『橋』の読書会と、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『魔法使いハウルと火の悪魔』の読書会です。
 それぞれどんな読書会になるのかを楽しみにしながら、今回はこれで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
水無月朔)