幻想研の100冊以降<第10回〜ファンタジーノベル大賞〜>

今日は第2回の創作会でした。樫家くんおつかれさま〜。
新入生が大勢来てくれて部室もにぎやかでした。
これからが楽しみです。


ファンノベ特集もこれが最後ですね。(みよしくにこ)

№118
『僕僕先生』 <第18回>
仁木英之 新潮社
表紙のイラストを書いていたのが好きな人だったので読んでみようと思った、のだったと記憶している。美少女で気ままな仙人と、彼女に何故か弟子入りすることになってしまったへたれニートな若者。そんな二人が一緒に世界を回り、様々な不思議を見届ける。元々は中国の古典から想を得ているらしいが、古さは感じず、現代的。ラノベっぽいと表しても良い。設定は良いと思うが、その設定にその他が霞んでいるかな、という印象。キャラは立っていたし、それなりには楽しめたけれど、続刊まで読みたいとは思わなかったのはラストがご都合主義に感じられたからだろうか。(御茶杉)

僕僕先生 (新潮文庫)

僕僕先生 (新潮文庫)


№119
『増大派に告ぐ』<第21回>
小田雅久仁 新潮社
口当たりは少し、(これを褒め言葉として受け取る人がどのくらいいるかわからないけれど)道尾秀介「向日葵の咲かない夏」に近いかもしれません。しかし内容としては、「向日葵」のような純粋なエンターテイメント性から、半歩ほどは離れている。文章はそれほどこなれていませんが、テーマの手綱は徹頭徹尾しっかり握られています。この小説で語られていることは、「増大と減少」について。団地という階層的な空間で、初期ピンチョンの問題意識を、たぶんオースター的手法で表現しようとしている。ファンタジーノベル大賞で三指に入る傑作です(残りは火星と太陽)。(どはつてん)

増大派に告ぐ

増大派に告ぐ