幻想研の100冊以降<第4回〜芥川賞〜>

いよいよ全学の授業がはじまりましたね。
新入生向け説明会、やります。というわけで告知。

・5月12日(木)@C206 ミス研・SF研と合同説明会です。
・5月13日(金)@C204
・5月17日(火)@C205 プラネッツ・つん読と合同説明会です。
・5月19日(木)@C301 ミス研・SF研と合同説明会です。
・5月20日(金)@C204
・5月25日(水)@C201 プラネッツ・つん読と合同説明会です。
※時間は16時30分〜18時30分

これ以外の日でも新サークル棟・417号室では随時説明やってます。
先輩が親切に対応してくれる(はず?)なので、ぜひ足を運んでみてください。
……4階まで上がるのめんどいけど。

あとはいつも通りにレビューです。芥川賞特集の最終回。



№106
『ひとり日和』<芥川賞 第136回>
青山七恵 河出書房
 第136回芥川賞受賞作。20歳の知寿と70歳の吟子が一緒に生きた春夏秋冬の物語。吟子の家に居候することになった知寿はフリーターで、特に何かが変わることもなく、淡々と過ぎていく日々に無常さのようなものを感じる。しかし、この無常さ、淡々と過ぎゆく日々の冷徹さこそが、この世界の姿ではないだろうか。万物は変わってゆく(はずである)。「変わらないもの」を描くのはなかなかに困難なことであるが、作者はそれを上手く描いているように感じた。
 特別な事があったわけではない。吟子との何気ない日常の中で少しずつ変わることが出来た知寿の成長の物語。(マリス)

ひとり日和 (河出文庫)

ひとり日和 (河出文庫)


№107
『乳と卵』<芥川賞 第138回>
川上未映子 文藝春秋
 第138回芥川賞受賞作。豊胸手術のために大阪から上京してきた姉・巻子とその娘・緑子の2人と「わたし」が過ごした数日を描いた物語。個性と読みにくさが紙一重の文体で綴られているが、いずれにせよ際立つのは、作者の言葉へのセンスである。饒舌で一見無駄があるように思える嵐のような言葉たち。だが、物事の本質をしっかりと押さえているのだ。最初に読んだ時の鮮烈さは忘れられない。
 ラストのインパクトも相当なものだ。母娘が卵をぶつけあう壮絶なシーンは、魂を揺さぶられた。あそこまで本音をぶつけ合える親子、そうはいない。言葉にしなければ伝わらないのだ。(マリス)

乳と卵 (文春文庫)

乳と卵 (文春文庫)



次回からは「かわいいおじさん特集」です。(みよしくにこ)